ボルドー近郊にあるサンテミリオンSaint-Émilionに来ました。
ボルドーワインの中でも特に有名なワイン地区です。
サンテミリオンに近づくと、大きな教会の建物と尖塔が見えてきます。
村の入口にある巨大なカベ。何なのでしょうか。「防御壁」としてあるブログもありましたが、一部分が残っているだけにしても、ちょっと高すぎるような気がします。
平日ですが、 村の駐車場はほぼいっぱいです。人も結構歩いているし、ここに来るまで通ってきた無人の田舎道とはエライ違いです。
村で目立つ建物は、2番目の写真に写っている教会とこの四角い塔です。
この塔は「王の塔」Tour du Royという名前で、13世紀の中頃、このあたりアキテーヌ地域を治めていたイングランド王ヘンリー3世が造らせたものだそうです。
塔の上に人が見えますので、上がることができるのでしょう。
ガイドブックには無料とあったけど、1.25ユーロの入場料がかかりました。何でも値段が上がる世の中です。
塔の上から眺めたモノリス教会Monolithです。
サンテミリオンの名は、8世紀この地の洞窟にした聖エミリオからとりました。
この教会は、聖エミリオの死後に弟子たちが石灰岩の一枚岩を削って建てた教会だそうです。モノリスとは一枚岩のことです。
この地にぶどうが植えられたのは、紀元2世紀ごろ古代ローマ帝国の時代だそうです。
聖エミリオの時代にも、この地がぶどう栽培に適しているので、弟子の僧侶たちがワイン作りに励んだとあります。
13世紀にできたサンテミリオンの自治組織はこの地のワインの品質管理について強大な権限を持っていました。貨幣鋳造と死刑判決以外の権限が与えられていたとか。
こうした厳しい品質管理により、サンテミリオンのワインの人気が高まったのです。
また、12世紀から15世紀までボルドーが英国領であり、ボルドーワインの大部分が英国へ輸出されその名を高めたということもありました。
18世紀になって、ボルドーワインは大躍進したのですが、それは英国など海外でのマーケティングが成功したことが大きかったと言われています。
宿の人に紹介してもらって、ワイナリー見学をしてきました。
サンテミリオンの町中にあるGUADETという老舗のグラン・クリュ・クラッセです。
地下に納められた2006年産のワイン。
昔から村の中にあった多くのワイナリーは、場所が手狭になったことから郊外へ出て行きましたが、このワイナリーは今も村の中でこぢんまりとワイン造りを行っています。
地下のケーヴの壁に描かれた絵は、何十年も前、もしくは何百年も前のものかも知れません。
試飲させてもらったワインは、芳醇で何とも言えないおいしさでした。
サンテミリオン村の役場の横には、村営ワインショップがあって、ワイナリーにいちいち行くことなく好きな銘柄を求めることができます。
村の役場前広場のカフェで食べたランチです。
上は「田舎風スープ」
下は「ニース風サラダ」です。
スープの器はウチにある密閉容器と同じものでした。野菜スープにクルトンを自分で入れて飲むようになっていますが、味が全然ついていないのにはビックリ。
サラダは材料を並べるだけですから、不味く作りようがありませんが、それでもおいしいという代物ではありませんでした。
時代が13世紀だったら、こういうものを出す店 はサンテミリオン自治組織によって閉店に追い込まれていたことでしょう。
口直しに、同じ広場ちかくにあったお菓子屋さんでカヌレを食べました。
カヌレはボルドーで最初に作られたお菓子です。ワインの澱を除くのに卵白を使っていたため、大量に余った卵黄を活用するためにボルドーの女子修道院で作りはじめたものだそうです。
本場のカヌレは、外側がカリッ、中はモチっとしていて、さ・す・が・でした。
(2011年6月)